犬の問題行動について
- 他の犬や人間に対し、うなる、吠える、歯をむき出す、咬むなどの攻撃行動
- 他の犬や人間、または特定の音や物体におびえたり、留守番時の不適切な排泄やクッション
などを壊したりしてしまうなどの不安行動
- 犬の要求を満たすために人間に対して、催促して引っかいたり、吠えたり、とびついたりと
いう要求行動
- 拾い食いや食糞、不適切な排泄など
先ず、理解しなければいけないことは、ここに挙げた行動のほとんどは動物が持つ本来の行動であり、生育環境や学習による行動です。つまり、飼い主様が望まないこと、もしくは都合の悪い行動であっても、実は犬にとっては「正常な行動」で、飼い主様自身の犬に対する認識不足や適切ではない飼育環境が原因で起こるものも多く、一貫していない間違った対応などによって問題が悪化している場合があります。
ただし、獣医動物行動学の分野において、問題行動は「飼い主が容認することができない、あるいは動物自身に傷害を与えるような行動」や「飼い主が生活する上で好ましくない行動」と定義づけられています。そして治療の対象となる問題行動とは、飼い主様によって問題と認識されたときにはじめて「問題行動」となります。
犬の問題行動の治療について
行動治療は、飼い主様に動物の行動特性を理解してもらうことからはじまります。獣医師の仕事は人と動物が幸せに暮らせるよう手助けをすることです。実際の問題行動治療は、行動修正法、薬物療法、外科的療法などがあります。
問題行動治療の流れ
問題行動治療には、飼い主様の正しい犬への理解と、努力、忍耐、時間そして愛情が必要です。
問題行動を予防する上で大切なこと
生後12週齢を過ぎると見知らぬ場所や動物に対して明らかに警戒心を抱くようになるといわれ、また6~8週齢においては、警戒心や恐怖心を上回るような好奇心が観察され、この時期には母犬や兄弟犬たちとの遊びを通じて愛着や自我の形成も成されます。
このことから、おおむね4週齢~13週齢ごろを子犬の社会化期と呼び、人間社会で暮らす様々な刺激(音、匂い、場所、人、動物、日常の生活用品、自転車や車、五感を刺激するものなど)に慣らしておくことで、人間にとっての問題行動を引き起こすことが少ないと言われています。
当院では、この子犬の社会化期という年齢に合わせて、定期的にパピーパーティーも開催しております。開催日時等の詳しい情報は病院HPまたは病院Facebookをご覧ください。
猫の問題行動修正
- トイレ以外の場所での排泄行為や、尿スプレーとも呼ばれるマーキング行為などの
不適切な排泄
- 他の猫や人間に対して威嚇、引っかく、咬むなどの攻撃的な行動
- 他の猫、人間、特定の物や音に怯える
- 外に行って昆虫や小動物を狩り運んで来る。
カーテンによじ登ったり、柱や家具で爪を研いだりする(本来のネコの行動)
猫は規則正しい生活を好み、環境の変化を嫌います。引越し、赤ちゃんの誕生などを含めての新しい家族、新しい猫、その他の新しいペットなどの生活環境の変化だけでなく、飼い主様の帰宅時間が遅くなるなどのほかにも、飼い主様自身のストレスにも敏感に察します。
猫が安心して暮らせる環境を整えることで多くの困った行動が改善されることも少なくありません。特に室内で猫を飼育する場合は飼育環境をネコの行動特性に合わせる工夫が必要です。
例えば、窓などから外の様子を観察できる場所、それぞれの猫が安心して隠れることができる場所、邪魔されず安全でいられる場所が必要です。そして、猫がエネルギーを発散し満足できるようにいろいろな遊びを取り入れ、猫と遊んでやります。そうすることが問題行動を防ぐことに繋がります。