犬は私達の言葉を理解できません。それは、犬同士のコミュニケーションに言葉が用いられていない事からもわかると思います。しかし、犬には生きて行くための学習能力があります。犬は、食欲を満たし、危険から身を守るため群れで暮らします。犬が人間を同種の群れと認識するか否かは別として、私たちの生活空間に犬を招き入れるのならば、彼らを私達の家族の一員としてとらえるべきでしょう。私たちに赤ちゃんが生まれたら、トイレから食事の仕方までを赤ちゃんの発達段階に応じて教えていくように、犬にも発達段階に応じて人との暮らしに必要なルールを教えていくことが、「犬のしつけ」であると当院は考えております。
犬は、物事の起こる順番を観察し、記憶して、学んで行きます。私たちが物を手にとって確かめるように、犬は口を使います。私たちの言葉を同じような方法で理解はできませんが、音として記憶していきます。名前の概念はありませんが、「ポチ」という音の前後に起こる事柄との関連を憶えて反応します。「ポチ」という音の後に食べ物など好きな事が関連すると、次からその音に喜んで反応し、体罰など嫌悪を感じる事が関連すると、その音を避けるように成ります。これは、最も大切な「名前を呼ばれたら来る犬」にしつける工程です。
もうひとつ、大切なことは、人間の赤ちゃんを育てる時のように、犬も極力叱る必要のない環境の中で育てることです。犬を迎える住居空間の環境設定からはじめ、そこで暮らし方のマナーを教えることが大切です。私たちは、犬にばかり学ぶことを強要しがちですが、犬という生き物を理解することが、快適な共同生活への最短距離なのです。
犬を初めてクレートに入れる場合、無理矢理犬をクレートに押し込むようなことはせずに、犬が自発的にクレートに入れるような設定をします。例えば、犬が喜びそうな食べ物や玩具をクレートの中に入れておき、犬がクレートに入っても最初の間は無視をして放っておきます。やがて、犬にとってクレートは宝探しの楽しい場所となった頃に、犬の目の前でおやつをクレートの中に「ハウス」と言いながら入れて、犬がクレートに入ればまたおやつをあげるということを繰り返し、クレートに入る行動を強化していきます。
子犬は、「ご飯やお水を飲んだ後」、「寝起き」、「運動(興奮)した後」などに排泄をすることが多いので、このタイミングでトイレに連れて行き(排泄が済むまでそこから出られないように、トイレはサークルなどで囲っておきます)、「ワンツー、ワンツー」もしく「ピッピ、プップ」などとの言葉で声掛けをして排泄するまで待ちます。排泄をした後は、トイレから出してやり褒めておやつなどをあげます。これを繰り返し、排泄の場所を強化していきます。
飼い主様の就寝時や外出時などは、排泄を催すタイミングでトイレに誘導はできないので、寝床とトイレをサークルで囲った環境を用意するなど、行動の制限をすることで失敗を予防することができます。本来犬は、土などの柔らかい場所で排泄をする習性があるので、絨毯、足ふきマットやクッション、布団などの上などで排泄をしてしまいがちです。トイレトレーニングの間は、このようなものを犬がいる場所には置かないことが失敗を予防することに繋がります。
排泄を失敗してしまった場合は、叱ったり声をかけたりせず、犬をその場所から遠ざけ排泄物を片付けましょう。失敗した排泄場所やその物の処理に関しては、完全に排泄物の匂いを取り去る必要があります。犬は自分の排泄物の匂いによって排泄が誘発されるため、匂いが残っているとそこで排泄を繰り返してしまうようにもなります。排泄物を取り去った後に消臭スプレーをかけて匂いを取り去ることを忘れずにしましょう。
そして
愛犬の好きなもの(こと)を5つあげてみましょう。
愛犬の嫌いなもの(こと)を5つあげてみましょう
犬に何かを教える前に、愛犬のことを知ることから始めましょう!